
成人 なんでも食べれる人向け FG○ たけちとたなか おだとあけち 倫理ないない気味 アイコン@fgoyou_niki 様
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ALT 現代人の生活には、スマホは欠かせないものになってきているらしい。 逆に言えば、新兵衛は未だ現代人ではないのかもしれない。 進学で親元を離れる際、一応持たされてはいたのだが、今は監督に預けてしまっている。手元にあるとついつい動画なんか見てしまったりして――変化球は成長期が一段落したら教えてやると監督から約束されているのに、他の選手が練習させてもらっているのを見ていると我慢できなくなって、こっそり調べてしまったりして――ためにならなかったから、物理的に離してもらうことにしたのだ。不自由は全くなかった。新兵衛の世界は野球と学校だけでほとんど完結しており、用のある相手には直接話せば済むし、野球に関して知りたいことがあればいつでも監督に聞けるからだ。スマホを返してもらうのは、親に連絡する必要が生じた時くらいのものだった。 それがまずかった。

ALT 三年生が引退し、少しずつ気温が下がって日が短くなり、朝は長袖ジャージで走り夕方には照明塔を点けて練習するようになった頃のある日、やたらと重い段ボール箱が五箱、下宿に届いた。各地に住んでいる監督の後援者から差し入れが届くことはちょくちょくあったが、質より量で勝負と言わんばかりの今回の重圧は、それらとは少し毛色が違っていた。何より、箱に印刷された紫色の図柄に新兵衛は見覚えがあった。嫌な汗をかきながらスマホを確認させてもらうと、はたして数日前に親からの通告が届いていた――いつものお芋を送るから皆さんに召し上がってもらうように、と。 「すごいな……」 「……親戚が、作っていて……毎年もらっていて…………しかし、こんな量では…………」 「そうか、サツマイモは鹿児島か……」 恥ずかしすぎる。これではまるで、米の代わりに芋を食って育った田舎者のようではないか。よりによって、芋。もう少しよそゆきな品はなかったものだろうか。しかし、監督は酒も飲まないし(小学生のころ野球雑誌で武市選手の下戸を知ってから新兵衛は一口も酒を飲まず固辞し続けており、そのため家族にもこの情報は共有されている)、仮に特級品のかごしまマンゴーなんか送られてきた日には、それはそれで『どうかひとつ、息子をエースピッチャーに』という賄賂みたいな意味を帯びてしまうかもしれない、監督は賄賂なんか受け取る人ではないけれども。しかしそう考えると、まだ芋で良かったのか? いや、芋でも賄賂になり得るのか? 江戸時代とかなら……なるかも……? いっそ米どころで生まれていれば……

ALT 「スイートポテトって、もしかして手のひらサイズで作らなくてもいいんじゃないか」 現実逃避であらぬ方向へと転がり出していた新兵衛の思考に急ブレーキがかかる。低く柔らかな声に引っぱられるようにして一塁へ駆け戻る。 「米……えっ、スイート、ポテト……?」 「そうか、そうだな、炊飯器でいけるかもな? バケツプリンみたいな感じで」 何を言っているのかよくわからないが、監督の目が、キラキラしている。キラキラのお顔で段ボールを覗き込み、両手に芋を掴んでいる。田舎の土の匂いがする。変な光景に脳が混乱する。

ALT 「ひとまずスイートポテトは決まりとして、こっちの二箱……念のため三箱、車に積んでおいてくれるか? 焼き芋にして練習後に皆で食べよう」 「はい……えっ、学校で焼き芋作るんですか」 「文化祭でキャンプファイヤーしてたし、大丈夫だろう。皆喜ぶぞ」 調理室を借りるとかでもなくグラウンドで焚き火をするおつもりらしい。本格派だ。以蔵あたりが学校の敷地内で火なんて起こしたらと考えると、謹慎どころか野球部連帯責任で大会出場停止処分まで食らってもおかしくなさそうなものだが、監督がやるとなると安心感が違う。一も二もなく、新兵衛は届いたばかりの段ボール箱を抱えて玄関を飛び出した。 箱を車に運み込んで戻ると、監督はキッチンで何本かの芋を洗っているところだった。水道の音に混じって聞こえる鼻歌は新兵衛の知らないメロディで、とらえどころがなく、ただご機嫌が良いのだということだけが伝わってきた。 監督は芋が好きなんですか、と、尋ねようかと思ったけれど、やめておいた。 なんだか好きだと言わせるための質問みたいで、よろしくないと思ったからだ。




















