「秋の夜長で実際に増える夜、ですか!?」
コトリは眼鏡をくいっと押し上げると、待ってましたとばかりに身を乗り出した。
「良い質問ですね、先生!その質問にお答えしましょう!東京あたりの緯度、北緯35度ちょっとで考えますね。まず基準として、秋分の日、9月23日頃は昼と夜がほぼ同じ長さです。正確には大気による光の屈折と、太陽の上端が地平線に触れた瞬間を日の出・日の入りとする定義の関係で、昼のほうが十数分長くて、夜は11時間50分くらいなんですけど!」
指を一本立て、もう一本立てる。
「それで今日、10月25日の東京は日の出が5時台後半、日の入りが16時50分ごろなので、夜はだいたい13時間ちょっとです。つまり秋分からたった1ヶ月で、夜はもう1時間以上も伸びてるんです!秋分前後は1日あたり2分近いペースで昼が縮んでいくので、変化がいちばん速い時期なんですよ。冬至のころには夜は約14時間15分になります。ちなみに夏至のころの夜は9時間半くらいしかないので、夏至から冬至まででは、夜はおよそ5時間近くも長くなる計算です!」
そこまで一息に言ってから、コトリはふと首をかしげた。
「……あれ、でも先生、気づきました?数字だけ見ると、いちばん夜が長いのは秋じゃなくて冬なんです。じゃあどうして『秋の夜長』なのかというと、夏の短い夜から急に暗くなるのが早くなる変化の大きさを、人は実感しやすいからなんです。それに秋は暑くも寒くもなくて、虫の声を聞きながら読書をしたり、起きていて心地よい夜なんですよね。冬の夜は長くても、寒くて早く布団に入っちゃいますから!あ、ちなみに古典ではもう和歌の時代からこの感覚が……」
はっとして、コトリは両手をぱたぱたと振った。
「す、すみません!まだ「起承転結」の「承」くらいなんですけど……先生、続き、聞いていきますか?えへへ」
#ブルアカらいぶ秋の夜長SP
