同性婚の反対理由は、どれも一言で崩れる。『まだ早い』→オランダは25年前に始めた。『パートナーシップで十分』→30年連れ添っても相続人になれない。『国民の理解が』→世論調査では賛成が多数派。残るのは『同性だから』の5文字だけ。その5文字で、同性の二人の結婚を止めるな!
同性婚がないと、お父さんのサインはうそにされる。
娘のパスポート申しこみの、親の欄で。
娘には、男性の親がふたりいる。パパとお父さんだ。
連絡帳のサインは、お父さんの係だ。
娘は「パスポートも、お父さんの係でしょ」と言った。
パパとお父さんは、男性どうしで結婚できない。
だから親の欄に書けるのは、国が親と認めたパパだけ。
男女で結婚した両親なら、どちらが書いてもいい。
お父さんがサインすれば、うそにされる。
申しこみは、パパがサインした。
その夜も、連絡帳はお父さんがサインした。
うそにされても、お父さんは娘の親だ。
同性婚に反対しても、あなたの孫が誰を好きになるかは選べない。大人になった孫息子が彼氏を連れてきて『この人と結婚したい』と言ったら、その結婚にも反対する?今日の反対は、その願いに今から『だめ』と答えておくことだ!
同性婚の届け出を、国の考え方に従って断った市長が、その考え方に『憲法違反の強い疑い』があると書いた。これは三重県伊賀市長の公式コメントだ。断る側のトップが、断る理由の方を疑っている。なのに国は、疑われたその理由で同性の二人の結婚を止めている!
同性婚のない国の、「反日」。
同性婚を求める人は、よく言われる。
「反日だ」「日本の恥を、世界にさらすな」
世界の主な7か国、G7のなかで、
同性婚も、国が作る、結婚に近いしくみも
どちらもないのは、日本だけだ。
日本に同性婚がないことは、世界がもう知っている。
国連の会議で、アメリカとカナダが同性婚を求めた。
日本の政府は、受け入れなかった。
同性婚を求める人は、反日ではない。
願いは、好きな人と日本で家族になることだ。
だまっても、同性婚のない国の恥は消えない。
国会が同性婚の法律を作った日に、消える。
同性婚が認められても、あなたの金曜の夜は変わらない。賛成派も反対派も、いつもの店で一杯飲んで帰るだけ。変わるのは、となりの席で笑い合う恋人どうしの男性ふたりが、夫婦として互いの相続人になれること。あなたの夜はそのままで、ふたりの一生が変わる。
同性婚のない国の、ある法廷。
彼は、恋人の男性を車の事故で亡くした。
ふたりで暮らして、十六年だった。
事故を起こした運転手の、裁判の日が来た。
「ご家族の方は、前の席へどうぞ」
恋人の母が、柵の内側の家族席へ案内された。
恋人の母が座るのは、当然だ。
結婚していれば、夫や妻もこの席を頼める。
男性どうしは、婚姻届を出しても夫婦になれない。
彼は頼めず、柵の外のふつうの席から見ていた。
電車でも映画館でも、恋人の隣は彼の席だった。
恋人の事故の裁判で、彼の隣は知らない人だった。
同性婚を認めない今の法律こそ、憲法違反だ!どうせ活動家の言い分だと思って『逆だ、同性婚こそ憲法違反だ』と言い返したくなった人は、今の法律の方を憲法違反と判断したのが誰かも知らないまま、同性婚に反対している。
同性婚に反対の人へ。あなたが異性と出す婚姻届は、市長の後押しがなくても通る。伊賀市で男性ふたりが出した届は、市長が受理したいと言っても通らなかった。この差を性別のほかに説明できないなら、あなたの反対は、性別だけで結婚を止めようとしている。
同性婚を認めないのは、国によるいじめだ。国は法律で子どもにいじめを禁じ、仲間はずれもいじめに数えている。その国が、好き合う二人を、同性どうしというだけで結婚から外し続けている。子どもに禁じたいじめを、国は大人相手に堂々とやっている!
同性婚ができない日本人の彼は、
来月、恋人の男性と離ればなれになる。
恋人は外国人で、仕事の許可で日本にいる。
次の仕事が見つからず、日本にいられない。
隣の夫婦は、外国人の男ふたりだ。
自分たちの国で結婚したから、
夫婦として、ふたりで日本に残れる。
隣の夫婦が残れるのは、いいことだ。
でも恋人は、日本人の彼がいても残れない。
日本では、彼は男性と結婚できないからだ。
春、隣の夫婦が彼と恋人にレモンの木をくれた。
「黄色くなったら、四人でもごうね」
レモンが黄色くなるのは、十二月。
恋人が日本を出るのは、十一月だ。
同性婚に反対しているあなたへ。好きな人と結婚したいだけの同性の二人に、あなたはいったい何をされたの?何もされていないのに、相手が同性というだけで二人の結婚を『ダメ』と言うなら、あなたの反対は、ただの差別だ。
同性婚に反対の人へ。あなたにとって、結婚は何のため?国は男女の二人には、その目的を聞かずに結婚を認めている。男女には聞きもしない目的を理由に、同性の二人だけを締め出すなら、それはもう理由じゃない。国のえこひいきだ。
台湾で同性婚をした日本人の男性は、
台湾では夫婦。日本では「独身」のあつかいだ。
二十九歳の彼は、台湾の役所で結婚した。
彼の夫は、同い年の台湾人の男性だ。
台湾の役所の人は「お幸せに」と言った。
日本には、家族を記録する「戸籍」がある。
彼の戸籍に、ふたりの結婚は書かれない。
日本の法律は、男性どうしの結婚を認めないからだ。
彼の相手が台湾人の女性なら、
日本の役所に届けるだけで、結婚が戸籍に書かれる。
台湾人の夫の身分証には、結婚相手に彼の名前がある。
彼の日本の戸籍には、夫の名前がどこにもない。
同性婚に反対の人へ。もし、あなたが好きな人と婚姻届を出しに行って、役所で『相手が異性なので受理できません』と返されたら、『決まりなら仕方ない』と帰れる?帰れないのに、同性の二人には『決まりだから帰れ』と言うなら、それが差別だよ。
同性婚と関係なさそうな紙が、会社で配られた。
年末調整の紙で、夫や妻の「有・無」に丸をつける。
ここで働く彼は、恋人の男性と暮らして九年。
結婚半年の同僚が、彼の隣で「有」に丸をつけた。
同僚は丸をつけたペンを彼に渡し、笑った。
「そっちも、そのうち『有』だな」
夫や妻の欄は、法律で結婚した人だけ。
恋人が女性なら、彼も結婚して「有」にできた。
男性どうしは、法律で夫婦になれない。
彼は笑い返し、同じペンで「無」に丸をつけた。
同僚は半年で「有」。彼は九年いっしょでも「無」。
これが、同性婚のない日本の、年末調整だ。
同性婚に『少子化が進む』と反対する人へ。国が同性の二人の婚姻届を受理しない今も、生まれる赤ちゃんは10年連続で過去最少だ。受理したら、どこの家で赤ちゃんが一人減るのか。その家を挙げずに少子化を持ち出すなら、それは心配ではなく、ただの口実だ。
同性婚が認められたら、反対しているあなたは、具体的に何を失うのか。失うものが一つでもあるなら、それを一行で言えばいい。一行も言えないなら、同性の二人の婚姻届が今日も受理されない理由は、あなたの損ではない。
同性婚のできない男ふたりのうち、パパが亡くなった。
娘は、ふたりを「パパ」「お父さん」と呼んでいた。
次の朝も、娘は髪ゴムを持ってきた。
「お父さん、これからもむすんでね」
パパとお父さんは、法律で結婚できなかった。
だから法律の上の親は、パパだけだった。
パパが亡くなり、法律の上の親はいなくなった。
親がわりは、裁判所が娘のために選ぶ。
お父さんも候補だが、選ばれるとは限らない。
男女の夫婦なら、残った親がそのまま親だ。
毎朝、娘の髪をむすんできたお父さんが、
裁判所に選ばれるのを待つ側になった。

