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海外進出の手法は大きく5つあります。
想起しやすい海外進出の手段を選択してしまいがちですが、当然目的に合わせて手段は変えるべきです。
━━━━━━━━━━
▼5つの手法を、現地へのコミットが小さい順に
①卸・商社経由
現地の企業に販売する方法。
リスクは小さい一方、価格や顧客データは手元に残りにくい。
②海外モール出店
現地のモールに出店する方法。
集客力は強いが、手数料と表現の制約が課題。
③越境EC
日本から海外へ直送する方法。
小さく始められるので、「そもそも需要があるか」を確かめるのに向きます
④海外現地EC
現地決済・現地配送で運営する方法。
現地のお客様に最適化できるため、本格展開に向きます
⑤現地法人・店舗
拠点や店舗を構える方法。
投資・体制の負担は大きい
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▼見方のポイント
①から⑤へ進むほど、現地へのコミットと投資は「小→大」になります。
ただし、右に行くほど正解、という話ではありません。
・まず反応を見たい → ①〜③
・手応えがあり、現地で本気で売りたい → ④
・現地に根を張る覚悟がある → ⑤
自社の「段階」に合う手法を選ぶのが基本です。
それぞれに"手元に残らないもの"があるのも見逃せません。
卸・商社経由なら顧客データ、モールなら表現の自由度とブランドの見せ方。
何を手元に残したいかも、選ぶ基準になります。
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自社ECサイトで多言語サイトを立ち上げた。商品も載せた。決済も配送も整えた。それでも、海外からのアクセスも注文も、思うように増えない。
越境ECを始めたばかりの事業者が、最初にぶつかりやすい悩みです。「サイトを整えること」と「現地の人に見つけてもらうこと」は、別の問題です。
日本国内では、今この記事を読んでいるあなたの会社の商品はブランドの認知が積み上がっているかもしれません。店名で検索される。既存のお客様が再訪する。SNSやメディア、口コミから流入する。これらは、時間をかけて築いてきた「流入経路」です。しかし、新しい海外市場には、その蓄積がありません。ゼロから、認知を広げていく必要があります。
この記事では、海外での集客を、「見つけてもらう準備」「認知を広げる」「継続的につながる」の3つの段階に分けて整理します。あわせて、最初の30日で何を進めるか、国・地域ごとに何が違うかも、まとめます。
なお、この記事の内容は、SHOPLINEブログ「越境ECの集客|見つけてもらい、どう顧客に繋げるか」(2026年10月19日更新)を土台に、私の考えを加えたものです。
■ この記事の結論
先に、結論をお伝えします。
・海外の集客は、「見つけてもらう準備」「認知を広げる」「継続的につながる」の3段階で考える
・注文が増えないときは、まず「訪問者が少ない」のか「購入につながらない」のかを切り分ける
・多言語化は「受け皿」にすぎない。現地の検索語に合わせ、言語版ごとのURLとhreflangを整える
・認知を広げる手段は、広告・インフルエンサー・海外モールの3つ。課金の仕組みと、顧客との関係を誰が持つかが異なる
・広告予算は「学習に必要な件数」から、ROASは「越境EC特有の費用を引いた粗利」から考える
・買った人、訪れた人と、自社で継続的に連絡できる仕組みをつくる。連絡手段は、国・地域で異なる
順番に、見ていきます。
■ まず、「どこで詰まっているか」を切り分ける
注文が増えないとき、いきなり施策を増やすのは、おすすめしません。最初にやるべきなのは、訪問者数と購入数を分けて確認することです。どちらに課題があるかで、優先する施策が変わります。
目安は、次のとおりです。
・対象国からの訪問者が、月に数十人程度:まず、集客を増やすことが課題
・月に数百人以上が訪れているのに、購入がほぼゼロ:購入を妨げる要因を確認する。送料などを含む総額、決済手段、配送日数が、見直しのポイント
・その中間:集客と購入導線の改善を、並行して進める
比較の目安として、ECサイトの新規訪問者の平均コンバージョン率は1.7%、再訪問は2.9%と報告されています(Contentsquare、2025年)。また、購入しない理由では、「ただ見ていただけ」が最多の42%でした(Baymard Institute)。最初の訪問で、すぐに買う人ばかりではない。この事実は、後述する「継続的につながる」段階に関わります。
ここで挙げた人数は、一律の基準ではありません。国内サイトの実績とも比べながら、自社の状況を判断してください。
■ STEP1:見つけてもらう「入口」を整える
広告を始める前に、海外の顧客が、適切なページにたどり着ける状態を整えます。ポイントは、技術面の確認と、現地で使われる検索語の調査です。
【2つの設定】
① 言語版ごとに、個別のURLを用意しているか。Cookieや言語設定に応じて、同じURLの内容を切り替える方式は、Googleが推奨していません。
② 各言語版のhreflangが、相互に設定されているか。片側からの指定だけでは、対応関係が認識されません。
翻訳したページが、海外の検索結果に表示されない。対象地域の検索結果に、意図しない言語版が表示される。こうした問題の多くは、この設定の不足から起きます。
【検索キーワードは、現地で使われる言葉に合わせる】
日本語のキーワードを、そのまま翻訳しても、現地でよく検索される言葉と一致しないことがあります。
たとえば、「南部鉄器」の検索語を比べると(Ahrefsの月間検索数推計、2026年9月時点)、米国では、"cast iron teapot"のような、用途やカテゴリを表す言葉が多く検索されます。一方、台湾では、固有名詞の検索数が多くなっています。一律にカテゴリ名へ置き換えるのではなく、対象市場での検索数を確認することが大切です。Google広告のキーワードプランナーでは、国を指定して月間検索数を調べられます。現地モールの検索窓に表示される候補も、手がかりになります。
■ STEP2:認知を広げ、「最初の訪問」につなげる
サイトを整えただけでは、ブランドを知らない人からの、指名検索は期待できません。次は、現地の顧客に、自社の商品やブランドを知ってもらう段階です。
主な手段は、広告、インフルエンサー・アフィリエイト、海外モールの3つです。いずれも費用はかかりますが、課金の仕組みと、購入後に顧客と直接つながれるかどうかが異なります。
【広告】
費用:出稿費を支払う。予算の上限は自社で設定
強み:短期間で反応を確認できる
【インフルエンサー・アフィリエイト】
費用:固定報酬、成果報酬、商品の提供(無償の商品提供も、対価にあたる)
強み:紹介者への信頼と、フォロワーへの接触
【海外モール】
費用:出店手数料とモール内広告
強み:モールに集まる需要と、プラットフォームへの信頼
■ STEP3:訪問者と「継続してつながる」仕組みをつくる
初めてサイトを訪れた人が、その場で購入するとは限りません。会員登録やメールなどで、再び連絡を取れるようにしておけば、一度の訪問を、次の購入機会につなげられます。新規訪問のコンバージョン率が1.7%、再訪問が2.9%という数字は、その価値を示しています。
ここで用意したいのは、自社から継続して連絡できる手段です。プラットフォーム上のフォローだけでなく、会員情報や連絡先を、自社で管理できる仕組みを考えます。基本的な方法は国内と同じで、会員登録、メールアドレスの取得、メッセージアプリの友だち追加、同梱物、カゴ落ちリマインドなどがあります。
海外向けでは、さらに2点の確認が必要です。
確認①:現地で使われている連絡手段 台湾・タイではLINE、香港・シンガポール・マレーシアではWhatsApp、中国ではWeChat。米国・欧州では、メールが基本の選択肢です。
確認②:配信に必要な同意 国・地域によって、事前同意が必要な場合や、配信停止の方法を提示する必要がある場合があります。会員登録やメールアドレス取得の際に、配信への同意を確認できるフォームを用意しておくと、各市場での運用をそろえやすくなります。
また、モールから自社サイトへ誘導する際は、各社の規約に注意が必要です。Amazon、TikTok Shop、Shopeeは、商品ページやメッセージ、配信などから外部へ誘導する行為を、規約で禁止しています。同梱物も、注文へのお礼や、商品そのものの情報を伝える範囲で考えます。まずは、商品やブランドを覚えてもらい、検索したときに自社サイトを見つけられる状態を整える。STEP1で整えた検索の導線が、ここでも役立ちます。
■ 最初の30日で、進めたいこと
3つの段階を、最初の30日に落とし込むと、次の流れになります。
・初日〜第1週:GA4とSearch Consoleを国別に確認し、言語版ごとのURLとhreflang、現地の検索語を整える ・第2週〜第3週:広告・インフルエンサー・モールのどれから始めるかを決め、自社名義の広告アカウントと、採算が合うROAS、配信同意のフォームと連絡手段を用意する ・30日目:学習に必要なコンバージョン数、対象国からの訪問者数の変化を確認する。設定変更の直後の数字だけで判断せず、一定期間の変化を見る(SEOは、数週間待ってから確認するのが一般的)
■ 国・地域で、集客の「型」は変わる
基本の流れは共通でも、使われるサービスや出店条件は、市場によって異なります。
・台湾:過去7日間にLINEを使った人が、12〜65歳人口の93%、Facebookは88%(LINE台湾、Nielsen 2022年第1四半期)。LINE Ads Platformは、日本法人のまま広告を始められます ・香港:WhatsAppの月間利用率が74.7%。同じ繁体字圏でも、連絡手段は台湾と分けて考えます ・東南アジア:動画コマースが、2025年のEC流通総額の25%を占める見込み。タイはLINE、シンガポール・マレーシアはWhatsAppが候補です ・米国:Instagramの利用率は、18〜29歳で80%、65歳以上で19%。継続的な連絡は、メールが基本です ・中国:百度や、小紅書・WeChatなどのアプリ内検索が入口。Googleのシェアは約1%です
■ 台湾の事例で見る、「見つけてもらう」と「つなげる」
FANCLは、台湾向けの自社ECを立ち上げ、オープンから約1か月で、オンライン売上が約4倍になりました。6月1日の再上陸以降、全品10%OFFと数量限定特典のキャンペーンに、SNS広告を連動させています。「見つけてもらう」ためのSNS広告と、「買う理由」をつくるキャンペーンが、噛み合った例です。再上陸後は、「いつ発売されるのか」という声が、SNSや問い合わせを通じて多く寄せられ、自社ECという直接の接点が、お客様の声を届ける場にもなりました。
台湾では、団購・KOL/ライブ商流が過去4年でGMV+60%、Instagramはリーチ成長率+10.5%、TikTokは+12.9%です。見つけてもらう場も、つながる場も、現地のサービスが中心になっています。
■ 私の考え:「ローカルブランドと同じ土俵」に立つ
最後に、私の考えをお伝えします。
越境ECの集客で、私が最も大切だと考えているのは、「日本のやり方を持ち込む」のではなく、「現地のローカルブランドと同じ土俵に立つ」ことです。
現地の検索語で見つけてもらう。現地で信頼されているSNSやインフルエンサーを通じて知ってもらう。現地の人が日常的に使っている連絡手段で、継続的につながる。これらは、日本ブランドだから特別に必要なことではなく、現地のローカルブランドが、毎日当たり前にやっていることです。
日本の商品には、品質と信頼があります。その強みが、現地の人に届くためには、まず「見つけてもらえる状態」と「つながり続けられる状態」を、現地の標準に合わせてつくる必要があります。
■ まとめ
・海外の集客は、「見つけてもらう準備」「認知を広げる」「継続的につながる」の3段階
・注文が増えないときは、訪問者が少ないのか、購入につながらないのかを切り分ける
・多言語化は受け皿。言語版ごとのURLとhreflangを整え、現地の検索語に合わせる
・広告予算は学習に必要な件数から、ROASは越境費用を引いた粗利から考える
・連絡手段は、台湾・タイはLINE、香港・東南アジアはWhatsApp、中国はWeChat、米欧はメール
日本の商品を、海外の現地の方々に届けるうえで、集客は「後からやること」ではありません。サイトの準備と同時に、設計しておく仕事です。
台湾・海外での現地EC展開のご相談は、SHOPLINE Japanまでお気軽にどうぞ。詳しい内容は、SHOPLINEブログの記事にもまとめています。 jp.shopline.com/blog/oversea…
(出典:SHOPLINEブログ「越境ECの集客|見つけてもらい、どう顧客に繋げるか」2026年10月19日更新。ジェトロ、Google、Meta、Ahrefs、Contentsquare、Pew Research Center、Google・Temasek・Bain「e-Conomy SEA 2025」、LINE台湾、各社公式情報による)
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